歯科口腔外科Oral & Maxillo-Facial Surgery

笑顔で口元を指差す女性の写真

歯科口腔外科 Oral & Maxillo-Facial Surgery

歯科口腔外科診察室の写真

口腔外科は、虫歯と歯周病以外の口腔疾患、すなわち奇形、発育異常(顎変形症など)、外傷(骨折など)、炎症、腫瘍(口腔がんなど)のほか、全身疾患と関係する口腔病変を対象に外科的治療(手術)を行う、歯科の中の専門診療科です。手術後の全身管理や入院治療も含まれるため、歯科と医科の接点ともいわれます。
広瀬病院の口腔外科は顎変形症の入院治療と手術を専門とする診療科として2019年10月に開設され、毎週1~2例の顎変形症手術を実施しています。顎変形症については、「当院口腔外科の特徴」を参照ください。
2020年5月に口腔外科外来を開設し、親知らず抜歯などの小手術や、口腔がん検診、 福岡市事業の歯科健診をおこなっています。また、専任の歯科衛生士を配置し、広瀬病院の主力である乳腺外科ならびに緩和ケア内科と連携し、乳がんの手術前後や抗がん剤治療を受ける患者さんに対して専門的口腔ケアを行っています。手術前後の口腔ケアは術後肺炎や手術創感染のリスクを軽減し、抗がん剤による口内炎など副作用を減らすことができます。また、緩和ケア内科での専門的口腔ケアは、口腔乾燥〈口の渇き〉や清掃不良による不快感を軽減し、おいしく食事ができるようにサポートします。がん治療や緩和ケア医療を支える専門的口腔ケアには保険診療が適応されます。
口腔外科は完全予約制です。受診希望の方はお電話で予約をお願いします。

外来診療表

診療科月曜火曜水曜木曜金曜土曜
診療科要予約AMPMAMPMAMPMAMPMAMPMAM
歯科口腔
外科
※ 診療科により予約制となっています。
※ 手術・学会出張等で休診や担当医が変更となる場合があります。
※ リハビリは整形外科、脳神経外科、乳腺外科、外科の専門医の指示が必要です。
※ 毎週火曜日および第2・第4土曜日は手術のため外来は休診します。

当院歯科口腔外科の特徴

① 「顎変形症」の顎矯正手術が専門の口腔外科です。

手術風景の写真

顎変形症は顎の大きさや形、位置の異常によって起こる、歯並びや噛み合わせの異常〈骨格性不正咬合〉と、顔面の美的不調和を特徴とする疾患です。原因の多くは顎骨の発育異常、すなわち過成長あるいは劣成長で、思春期の成長のピークを過ぎたころから、「下顎が出ていてる」「受け口」「出っ歯」「顔の歪み」などの変形が気になるようになります。また、「噛みにくい」「滑舌が悪い」「唇が閉じにくい」のほか、顎関節の異常、いびきや睡眠時無呼吸などの機能障害を伴うこともあります。

治療は矯正歯科と口腔外科が連携し、歯列・噛み合わせおよび顔面の美的調和と、咀嚼、会話、呼吸などの機能面の改善を目的に治療を行います。歯科矯正治療および手術・入院治療は健康保険が適応されます。

② 乳腺外科や緩和ケア内科の患者さんに専門的口腔ケアを行っています。

施術中の写真

乳腺外科の患者さんが全身麻酔で手術を受ける前に口腔内を診察し、歯石除去や歯みがき指導などの専門的口腔ケアを行います。
全身麻酔のチューブは口から気管に挿入されるので、口の衛生状態が悪いと肺炎のリスクとなります。また、歯周病や歯肉炎の細菌が血管内に侵入し、手術部位に血行感染することもあります。
乳がんの治療では、抗がん剤や骨転移を予防する薬の副作用で口腔粘膜炎(口内炎)や顎骨壊死が起こることがあります。これらのリスクをできるだけ減らすために専門的に口腔の衛生と機能を管理し、がん治療がスムースに進行するようにサポートするのが目的で、“周術期等口腔機能管理”(健康保険適用)とよばれています。
また、緩和ケア内科では口の渇きや清掃不良による不快感を軽減し、少しでも快適にお過ごしいただけるように、歯科医師・歯科衛生士が病棟を訪問し、ベッドサイドでも専門的口腔ケアを行っています。

口腔ケアの重要性

口の働きは「食」「話」「笑」

口の働きは、咀嚼、味わう、嚥下(飲み込み)、唾液の分泌、構音(発音)のほか、顔の表情や美的調和にも関係しています。また、鼻が詰まり息苦しいときは口呼吸の役目があり、まさにマルチタレントです。

「食」には咀嚼、味わう、嚥下が含まれます。味わうには味覚、触覚、温度覚を通して脳を刺激します。

「話」は発音と作る構音をさし、会話や歌うなどコミュニケーションに欠かせません。

「笑」は顔の表情をさし、顔の表情をつくる筋肉は口周囲の筋肉と関係しているので、よく噛むことで表情筋力がアップし、表情も活き活きとなります。顔の1/3の部分は口腔ですから、顔の美的調和にも大きく影響します。

口腔機能の重要性

口腔機能が低下すると食事の質と量が低下し、栄養やエネルギー、水分が不足します。食べる楽しみや生活意欲にも影響します。
嚥下を失敗するようになると、肺炎や窒息のリスクが高くなり生命を脅かすようになります。

また会話と笑顔が減っていくため、社会から遠ざかり、ついには介護が必要な状態になるといわれています。
口腔機能は生活や生命の維持に直結するとともに人生の楽しみや尊厳に関わる大切な機能ということができます。

口腔機能を維持するためには、毎日の歯磨き(セルフケア)と定期的な専門的口腔ケア(プロフェッショナルケア)が必要です。

口腔機能が低下すると・・・

  1. 経口摂取の質と量が低下
  2. 食べる楽しみ、生活意欲が低下
  3. 低栄養、脱水のリスク増加
  4. 誤嚥、肺炎、窒息のリスク増加
  5. 会話、笑顔が減り、社会参加の減少
  6. 口腔内の崩壊(う蝕、歯周病)が進行
  7. 自立した生活と日常生活動作の意地が困難

口腔ケアの目的

口腔ケアをすることで以下のような効果があります。

  • 口腔乾燥(乾き)や清掃不良による不快感の軽減
  • 口内炎や口腔粘膜炎の予防と治療
  • 食事をおいしく食べられるように口腔環境を整える
  • 口腔細菌数を減らし口腔細菌叢マイクロビオーム(常在微生物群)を整える
  • 誤嚥性肺炎を予防する
  • 生活の質(クオリティ オブ ライフ:QOL)を維持する

ウイルス感染を防ぐためにも、丁寧な歯磨きや舌の清掃がきわめて重要です。

また、歯科とは関係なさそうな心臓病や糖尿病、認知症、リウマチなども実は口の中の慢性感染症(歯周病や歯肉炎)とつながりがあることがわかってきました。

気になることがありましたら、当院歯科口腔外科にご相談ください。

担当医

升井 一朗(Ichiro Masui)

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