医療法人 広仁会 広瀬病院
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副作用と日常生活のポイントについて

アレルギー症状

 点滴中にアレルギー症状が現れることがあります。その多くは軽い症状ですが、まれに、急に血圧が下がるといった症状が起こることもあります。点滴中に次のような症状が現れたり、少しでもおかしいと感じたりしたときは、医師や看護師、薬剤師にすぐにおしらせください。
おもな症状
 ※ アレルギー症状は、多くの場合、点滴を始めてから10分以内に起こります。
  • 発疹、かゆみ
  • じんましん
  • 呼吸困難
  • 胸部の痛み
  • 発汗
  • ほてり
  • どきどきする
          …など
対策
 アレルギーを予防する薬を事前に投与する場合があります。
日常生活のポイント
  • 患者さん自身が点滴中に、「どきどきする」「発疹が出てかゆみがある」「暑くないのに汗をかく」など普段と違うことがあればすぐに医療者にお知らせ下さい。
  • これまで他のお薬で強いアレルギー症状を起こしたことのある方はお知らせください。
    薬によっては、アルコールに弱い体質の方はあらかじめ医療者にお知らせください。

吐き気・嘔吐・食欲不振

 症状の程度や時期はさまざまですが、軽い吐き気や嘔吐、食欲不振が起きることがあります。症状が強い場合でも、吐き気止めのお薬を服用することで症状をかなり和らげることができます。多くの抗がん剤でみられる副作用ですが、重症化することはほとんどなく、症状は徐々に良くなってきます。つらい場合は我慢せずに医師や看護師、薬剤師にご相談下さい。
おもな症状
  • 気持ちが悪い、においに敏感になる
  • 吐き気がする、吐いてしまう
  • 食事が取れない
          …など
対策
  • 事前に予防のお薬を投与したり、吐き気止めのお薬を処方しますのでご安心ください。
  • 音楽を聴くなど、治療中にリラックスできるような環境を整えましょう。
日常生活のポイント
  • 無理をせず、食べられるものを、食べられる時に少量ずつ食べるようにしましょう。
  • 吐いてしまった時は、脱水症状に注意し水分を補給しましょう。スポーツドリンクやリンゴジュース、お茶などの清涼飲料水をためしてみてください。
  • 食後すぐ仰向けに寝ないようにしましょう。
  • 食べ物の匂いが気になるときは、冷ましたものを選ぶようにしましょう。味の薄いものやとろみのあるもの、市販の栄養補助食品などは比較的食べやすいでしょう。
  • 治療の日はあっさりしたものを食べ、治療中はきけが起こるときは、治療開始の2~3時間前は食事を控えましょう。

脱毛

 脱毛を起こしやすい薬剤では多くの場合、治療を開始して2~3週間経つと脱毛が始まります。これは毛髪を作る細胞では細胞分裂が活発に行われているため、抗がん剤の影響を受けやすいからです。また眉毛やまつ毛など、すべての体毛が抜けることがあります。現在のところ脱毛を予防する有効な方法はありませんが、脱毛は一時的なもので、治療が終われば1~2か月ほどで再び自毛が生え始めてきますので安心して下さい。ただし、新しく生えてきた毛髪は、色や髪質が以前と変わることがあります。
日常生活のポイント
  • 髪の長い方は治療前に短くカットしておくとよいでしょう。
  • かつら、帽子、スカーフなどを利用したり、治療前の早めの準備が安心です。
    かつらでイメージチェンジを楽しんでいる方も多いようです。
    医療用かつら(人毛・ミックス毛)や帽子の見本・パンフレットを用意していますので、遠慮なくご相談ください。
  • 毛髪がなくても頭皮は汚れますので、シャンプーを泡立てやさしく洗い、毎日清潔にしておきましょう。
    • 脱毛開始時期はピリピリ・チクチクしたり、かゆみが出ることがあります。
    • 脱毛の際、ご自身で抜いてしまうと毛根が傷つくため、回復が遅れ、くせ毛が強くなるので抜かないでください。
    • 治療中は頭皮のマッサージや育毛剤は避けます。
  • 治療終了後のマッサージは発毛に有効です。
    • 発毛が始まってショートスタイルに戻るまで1年ほどです。
    • ヘアマニキュアの使用は抗がん剤投終了後から半年後、毛染めは1年後が目安です。

骨髄抑制による感染症

 血液は骨の中にある骨髄で作られています。血液の成分のひとつに、私たちのからだを病原菌から守る役割をしてくれる「白血球」があります。
 がん化学療法の影響により骨髄機能が傷害され、白血球が少なくなると、ウイルスや細菌などに対してからだの抵抗力が弱くなり、いろいろな部位に感染を起こしやすくなります。
 ほとんどの抗がん剤が白血球を減少させますが、減少時期は薬剤によって多少異なります。一般的には、治療後7~10日目頃から減少し始め、10~14日目ころに最も少なくなることが多いです。白血球や好中球の減少は自覚症状がありませんが、ときには感染症が重症化することもありますので、ひどくなる前に、予防や対処を行いましょう。
おもな症状
  • 熱がある
  • 悪寒(寒気)、発汗
  • のどの痛み、せき
  • 排尿時の痛み、残尿感
対策
  • 感染症の可能性がある場合には、抗生物質を投与します。
  • 白血球を増やす薬を注射する場合があります。
日常生活のポイント
  • 外出から帰った時、食事の前、トイレのあとには石鹸を使って手をよく手を洗い、こまめにうがいをしましょう。
  • なるべく毎日入浴またはシャワーを浴び、からだを清潔に保ちましょう。また、肛門の周りを清潔にして、傷つけないように注意してください。可能であれば温水洗浄便座の使用がおすすめです。
  • 外出時はマスクを着用し、できるだけ人ごみに近づかないようにしてください。
  • 小さな傷も手当てしましょう。
  • 歯ブラシは、口の中を傷つけないように、やさしく磨きましょう。
  • 歯科治療を受けている、またはこれから受けようとしている方は必ずお知らせ下さい。
  • 気になる症状があったら、医療スタッフに相談しましょう。

疲労感、倦怠感

 だるい、からだが重い、疲れやすいといった疲労感(倦怠感)を感じることがあります。
 これはがん化学療法に伴う一時的な副作用で、「やる気が出ない」「集中力がない」などの精神的疲労も含みます。がん薬物療法を受けた多くの方が体験される症状といわれていますが、病状が悪化しているわけではありませんので安心してください。ただし症状が長引く場合は、我慢せずに医師や看護師にご相談ください。
 倦怠感のメカニズムについては十分に解明されていませんが、下痢や吐き気など、他の副作用によって栄養バランスがくずれたり代謝異常が起こったり、貧血や発熱、痛みなどからも引き起こされます。
日常生活のポイント
  • 睡眠や休養を十分に取りましょう。
  • 無理をせず、自分のペースで行動しましょう。
  • 負担にならない程度の軽めの運動で、気分転換を図るのもよいでしょう。

便秘

 抗がん剤治療により、便秘の症状が現れることがあります。便秘が起こる原因として治療薬や痛み止め(医療用麻薬)、運動不足、栄養不足があげられます。多くの場合日常生活の工夫や薬を飲むことで改善できるため、症状が現れた場合は、我慢せずに医療者に相談しましょう。
日常生活のポイント
  • 水分を十分にとりましょう。
  • 食物繊維の多い食事をとりましょう。
  • 軽い運動をするようにしましょう。

下痢

 抗がん剤治療により、下痢の症状が現れることがあります。重篤化した場合は、脱水症状などを起こすことがあるため注意が必要です。1日4回以上の下痢や腹痛があるとき、また下痢が数日間続く場合は連絡してください。
日常生活のポイント
  • 食物繊維、脂肪分の多い食べ物、牛乳などの乳製品は避けましょう。
  • 香辛料・炭酸飲料などの刺激物を避けましょう。
  • 脱水症状を起こさないため水分をこまめにとったり、電解質を含むようなスポーツ飲料をとるようにしましょう。
  • カリウムを多く含む果物など(バナナ・リンゴなど)をとりましょう。
  • あらかじめ下痢止めを処方することもあります。

口内炎

 がん化学療法により、ほおの内側や唇、舌や歯ぐきに炎症が起こることがあります。
 口内炎ができる原因のひとつとして、抗がん剤が直接口の中の粘膜を刺激することがあげられます。さらに、白血球が減少すると口のなかの雑菌が増えるためにできやすくなります。口内炎があるときに食事をとると炎症の部分がしみたり、痛みが出たりして、食事がすすまないことがあります。
日常生活のポイント
  • 口の中を清潔に保つことが大切です。口の中を傷つけないように柔らかい毛の歯ブラシを選び、毎食後に歯磨きを行ないましょう。
  • 水やぬるま湯、うがい薬を使用してうがいを行い、口の中をうるおしましょう。
  • 唇の乾燥を防ぐために、リップクリームを塗るようにしましょう。
  • 食事は口の中の粘膜の炎症を強めてしまう可能性がありますので、刺激の少ない食事を心がけましょう。
    • 控えたほうが良い刺激物
      (熱いもの、塩辛いもの、辛いもの、すっぱいもの、かたいもの、乾燥したもの、酸味の強い果物など)
  • 口の中に入れる前に細かく刻みましょう。
  • 薄味にしましょう。最も粘膜の炎症を招きやすいのが塩味です。塩分の量が問題ではないため、汁物がしみると思った時にはお湯などで薄めましょう。

神経毒性(しびれ、筋肉痛)

 がん化学療法により、末梢神経が傷害され、しびれが起こることがあります。また、筋肉や関節が痛むことがあります。
 治療直後または数時間後に起こったり、薬剤によっては数ヵ月後に起こったりします。通常は2~3日たてば症状が軽くなることが多く、長くは続きません。
 がん化学療法を長く続けると、持続的な痛みやしびれとなり、日常生活に支障をきたすこともあります。また、回復するまでに時間がかかるようになり、症状が数ヶ月続くこともあります。気になる症状が現れたら、医師、看護師、薬剤師に相談しましょう。
しびれのおもな症状
  • 手や足の指などがしびれる、感覚が鈍くなる
  • ボタンをかけにくくなる
  • 歩きにくい
  • 細かな作業がしにくい
日常生活のポイント
  • 手足の血行を良くすることで症状が緩和することがあります。温水を使用したり、手袋をするなど冷やさないよう心がけましょう。冷たいものに触れたり、からだを冷やすと症状が悪化することがあります。
  • 感覚が鈍くなると厚いものや冷たいものに触れても感じにくくなるため、怪我ややけど、転倒に注意してください。
  • しびれが起きたときは、早期に対処することが大切です。日常生活に支障をきたす前に、医師、看護師、薬剤師に相談しましょう。
筋肉痛・関節痛のおもな症状
  • 治療数日後に、肩や背中、腰や腕などの筋肉や関節に痛みが現れる
  • 症状はほとんどが一時的なもので、数日で回復する
日常生活のポイント
  • ゆっくり入浴するなど、痛む部分を温めたりマッサージしたりしましょう。
  • ひどい痛みがあらわれることは少ないですが、つらいと感じる時は、鎮痛薬などで対処することがあります。

皮膚の変色、手足症候群

 がん化学療法により、皮膚が黒く変色する場合があります。特に手足やつめに症状が出やすいとされています。
 また、手足がヒリヒリ・チクチクする、赤く腫れる、皮膚にひび割れや水ぶくれが生じる、爪が割れたりするという症状は手足症候群と呼ばれています。進行すると痛みを伴い、日常生活に支障をきたす場合があります。そのため、日頃からの予防と対策で、症状の出現や進行を防ぐことが大切です。
 おもに外用薬による治療が行なわれます。薬の種類や使い方は、患者さんの症状によって決められます。医師や看護師、薬剤師の指示を守って使うことが大切です。症状の程度によっては、抗がん剤を休薬する事があります。
日常生活のポイント
  • 弱酸性など、低刺激の石鹸を使用しましょう。手足は清潔に保ちましょう。
  • 保湿剤で皮膚を保護し、外部からの刺激を防ぐ作用があります。こまめにハンドクリームなどで手足の乾燥を防ぎましょう。シャワーや入浴後など皮膚の温度が高く湿度も高い状態で塗ると効果的です。
  • 水仕事や庭いじりなどをする際は、必ず手袋を着用してください。傷を作ると細菌感染の原因となる恐れがあります。
  • からだに密着する指輪、過度に締めつける下着や靴下、ヒールの高い靴の着用は、皮膚を圧迫したり、傷をつける原因となりますので避けましょう。
  • 抗がん剤の投与中は、長時間の入浴などで手足を温めすぎないことが大切です。血行が良くなると、抗がん剤が手足や爪に行きわたり、症状が悪化することがあります。
    また、硬いナイロンタオルや軽石による刺激に注意してください。
  • 紫外線対策をしましょう。紫外線は肌を乾燥させるので、十分注意してください。外出時は防止や日傘を使ったり、長袖の上着などを着用するとよいでしょう。日焼け止めクリームを使用する場合には、皮膚への刺激に気をつけてください。
  • 過度な運動は控えましょう。足底に負担をかける激しい運動(ジョギング、長時間の歩行など)は控えるようにしてください。また、長時間の正座や、ひじ・ひざをつく作業(農作業やガーデニングな)なども避けたほうがよいでしょう。
  • つめの処理に注意しましょう。つめの角が食い込むと炎症を生じやすくなるため、深爪を避け、爪の角を少し伸ばしておくことが大切です。足指の爪は爪先の白い部分を四角く残し、爪先の角が皮膚の先から少し出るくらいにしておくと、トラブルが少なくなります。

性機能に関する影響

 がん化学療法を受けると、性機能や性生活に影響を及ぼすことがあります。症状や症状が現れる期間は、薬剤や投与量、投与期間、年齢、がんの種類、体調によっても異なります。
妊娠への影響(女性の場合)
 がん化学療法で使用する薬物の中には卵巣の機能に影響を及ぼすものがあり、このため不妊になったり、月経異常や更年期障害に似た症状が出たりすることがあります。
 薬物の影響を受けている間の妊娠は、胎児に異常をきたす危険性がありますので、避妊することをおすすめします。妊娠を希望する場合は、パートナーとよく話し合い、必ず担当の医師に相談しましょう。
性生活への影響
 卵巣機能が影響を受けることによってホルモンバランスが崩れ、膣粘膜からの粘液の分泌が減って乾燥したり、粘膜が萎縮したりすることがあります。
 このような状態の時には膣粘膜や陰唇が傷つきやすく、性交時に痛みを伴うことも多いので潤滑ゼリーなどを使用するとよいでしょう。また、がん化学療法を行なっている間は炎症を起こしやすくなりますので、常に清潔にしておくことが大切です。
 体調がすぐれなかったり、気持ちが伴わない時は無理をしないことが大切です。パートナーに自分の気持ちを伝え、これまで以上にいたわりあって接することが大切です。静かに抱き合う、触れ合う、手をつなぐだけでも絆を深めることができるという気持ちを大切にしましょう。
 性生活が病気の進行に影響することは全くありません。また、ホルモンが関係するような病気であっても、性生活のために病気が進むことは全くありません。

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